セキララ絵日記
 
まるで駄目なグラフィックデザイナー見習い日記。
 



或足ノ物語②

※注意
奇妙な人が不快になるかも知れない小説モドキなので此処で気持ち悪くなったら帰ったほうがいいです。



「福田さん?どうかしたの?」

「えっ…佐崎さん…」


その夜、福田 美奈は初めて父親意外の男性と食事をした
最初は下を向いてばかりいたが少しずつ慣れ話の途中途中彼の顔を見た

「こんな素敵な夜は初めて…夢見たい…」

「福田さん今まで誰とも付き合ったこと無かったの?」

「えぇ…それに、男性とこんな間近で話した事も初めてなの…」

「ふぅん…福田さんは綺麗なのにね…」

「・・・・・・・」


美奈は口が開いたまま塞がらなかった
ポカンと口を開けたまま虚ろで、さっきまでの余韻に浸っていた
言うまでも無いが夢のようだと彼女は思っていた

次の日から福田は変わった

今まで髪は一つ結びで前髪までも後ろにだらしなくさげていたが今は肩くらいに整い
黒縁眼鏡はコンタクトになった
会社の制服のスカートは膝下だったが膝上になり、彼女の美しい足を覗かせていた
勿論、女子社員たちは彼女の行き成りの豹変に驚いた

「見た~?福田さんの変わり様!」
「見た見た!!何なの?アイツ」
「男でこんなに変わるもんかしら?」
「でも、どっちにしろブスには変わりないけどね~」
「言えてる言えてる!」
女の喋り場女子トイレで馬鹿笑いしていた

驚いたのは女子社員達だけではなかった
男子社員も口にはしないが驚いていた

これは男の力…

今までは福田を馬鹿にしていた男も目つきが変わった
そいつがふざけて彼にこう聞いた

「お前、昨日何したわけ?スゲェ変わり様じゃん!」

しばらく口を閉じていた佐崎がこう言った

「あんな彼女好きじゃない」

「はぁ?お前大丈夫かよ~」

そんな事もつゆ知らず、愛する彼の褒め言葉を信じ浮かれていた
ところが、言われた言葉は

「そんな格好…僕の好きな福田さんじゃないよ…」

その次の日から彼女は元通りに戻った
馬鹿にしていた女子社員たちも実は危機感を感じていたのでホッとしていた

それから彼女と彼は会社全体の公認カップルになっていた
ある日突然彼女が呟いた

「佐崎さん…本当に私なんかでいいの?」

「何でだい?」

「私は、佐崎さんを愛しているけど…佐崎さんと私は…似合わない」

「そんな事は関係ないだろう?周りにどう思われようと、僕は、君を美しい君の…君を…愛しているのだから」

「佐崎さん…」
涙がぽろぽろと零れ落ちた
私は何て馬鹿な事を考えていたんだ…と思った

「そろそろ僕の事、亮輔って言ってくれよ“美奈”」

「・・・・亮輔・・・・」

しかし、それも長くは続かなかった…
愛はいつかは枯れ、深い悲しみが静かに襲い来る

「最近…冷たくない?」

それは突然の事だった
彼はしばらく黙りこくるとこう言った

「…君の事も愛していた、君は魅力的な女性だった、けど…君より魅力的な女性を見つけたんだ」

「何で?私はどうなるの?」
信じていたものが一瞬にして失うのが怖かった…
彼女は必死に、涙を流し訴えた
しかし、彼は…

「君が…僕に永遠の愛の形を僕にくれるのならば、僕は死ぬまで…君を愛し続けるよ…君の…」

「…今、何て?」


時はたち、昼間は五月蝿い犬も静かに眠る深夜
最終電車が発車した
運転手はいつもの様に職業病の独り言を呟いた

「今日はやけに静かだな…」

静寂が走るこの時間は運転手が一番眠い時間だったが最後の運転だったので自分をしっかりさせた

闇を照らすライトは“何か”を映し出した


「うわぁぁあああああ―――――!!!!!」

静寂を守り続けるこの時、運転手の悲鳴が響いていた。



+続く+



7月14日(木)15:11 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理

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