セキララ絵日記
 
まるで駄目なグラフィックデザイナー見習い日記。
 



或傷ノ話①

※注意 
奇妙な人が不快になるかも知れない小説モドキなので此処で気持ち悪くなったら帰っ
たほうがいいです。



「佐崎さん最近元気無いじゃない」
同僚の馬宮さんは煙草を銜えながら呟いた
煙は遠く、何処へ飛んでいくのだろうか…
消えても私達には見えないだけで、きっと何処かへ飛んでいくのだ…

「佐崎さん聞いてる?」

「え、えぇ」

最近、私は集中力にかけている
何故って…始終彼の事を考えているからだ

「いつもの佐崎さんは明るくてぇ、ほら…」

馬宮さんは私が話を聞いていない事に全く気付いていない
そんなに私はいつもぼうっとしているのかしら

母さんが死んで一ヶ月ちょっと経った
長年続いた病魔と闘い呆気なく死んだ
まだ五十ちょっとで若くして死んだ
父さんは…あまり変わりなく生活している
それどころか、この前家に行った時新しい恋人ができたと呟いていた

愛って儚い物ね

最近毎日がつまらなく思えて仕方が無い
仕事も、友達付き合いも…

「痛っ」

行き成り、横腹の痛みが振り返った

「なに?どうしたの?」

「ううん、なんでもないわ」

「そう」

彼に切られた傷だ
彼は私を傷つける事を楽しんでいる
彼はきっとサディストなのだ


「ねぇ…健史(たけし)は私のことどう思っているの?」

健史は気にせず私の腹に剃刀をあてていた

「…何を今更…」
と呟くと剃刀で腹を切った
血は水滴のようにポツポツと出てきて、それを健史は満足気に眺めていた
私はしつこく問ただした

「ねぇ、私をどう思っているの?」

「…しつこいなぁ…好きだよ」

そう言うと機嫌を損ねたらしく向こうを向いてしまった

健史と付き合って二週間、出会いは同僚の馬宮さんの紹介だ
健史を見た瞬間ピンときた
そして皮肉にも健史の“癖”をしったのははじめての時だった
「ここ切っていい?」
と聞いて私の横腹に剃刀で切りつけた
最初は異常だと思ったけど、それでも愛おしく思えた

それも母の遺伝子

愛する者の為に自分を犠牲にする
母と父との関係もそうだった
しかし、一方の父は尋常ではなかった
母が留守の間、私を自分の部屋に呼び
私の足を撫で回し、こう呟いた

「千佳(ちか)もお母さんに似てきっと、美しい足になるはずだ…」

と言った

しかし、父は、その時以外は実に良い父親で
そっと、その出来事は心の中にしまっておいた。


母が亡くなってから父も色々苦労しているだろうと思い週2、3回は実家に行き、食事のしたくなどをする
今日もその日だ

「お父さ―ん、いる?」

返事が無いので勝手に入り、早速台所へ向かった
鍋が無いのでそこら中探すとテーブルの上に無造作に置いてあった
それを手に取ると重みを感じた
中身を覗いてみると肉じゃがが入っていた
きっと、新しい恋人やらが作ったのだろう。
何だか腹立たしく思えたけど、私は大人!と言い聞かせ、他の鍋を探した

夕飯が出来上がり、父が帰ってくるのを待つつもりでテレビを見はじめた
夕方と夜になる間の時間は、どれもくだらない番組ばかりで溜め息をついた
父は何処かに出掛けるにしても絶対、夕飯になる頃には帰ってくる男だ

それにしても遅すぎる…

すると二階から笑い声が聞こえた

父は初めから家にいたのだ
何だか馬鹿らしくなったけど二階に行き父を呼びに行った

「お父さ―ん?ごはんできたよ?」

父の部屋に近づくたびに笑い声が近くなる
何だか気味が悪かった。
そして、こう聞こえた

「はははは、美奈、このまま行けば全て僕の考えていた通り上手くいくよ」

美奈…お母さん?

ついに可笑しくなってしまったのだろうか?
父は死んだはずの妻に話しかけるように呟いていた
私が足音たてずに父の部屋の前に立っていると

「何だ、千佳来てたのか?」

と行き成り父が部屋から出てきたものだから
私はその場でしりもちをついた。

「夕飯できたよ」

と答えると父は微笑んだ
階段を下りる時の私の心臓の音は父に聞こえるかと思うくらいどきどきしていた

父は喜んで私の作った夕飯を食べた

それを見ると昔を思い出した


でも、この父の行動は恐ろしい結末のはじまりだった
全ては父の考えていた通りに進んでいた…




+続く+

これは“或足ノ物語”の続編
美奈の娘千佳が主人公の話です
私の書く小説は何処か狂っている話が多いので注意ですね(腐腐
“或足”より“或傷”の方がきっと、恐ろしい結末になるでしょう…
なにせ、運命は変えられないのだから…
このストーリーは私の考えた運命の中に存在する
彼女達の運命は私が決めているのですから…
何て、ちょっとゴッド気取り…(腐腐



7月16日(土)21:22 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理

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