チョコレート中毒(下) |
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| 「君は大変なことを言っている。分かっているかね?」 「はい、社長。」 この黒いスーツを着た男こそが自殺まで考えた社長だ。
「この秘密を知った者が、辞められると思っているのかね?」 「いいえ…」 「どうしたいんだ?この秘密を知ったからには辞められないんだよ。」 「…………なら…」 「なら?」
「トップから下ろしてください。私は絶対秘密を守ります。」 「なんだと?」 「私を製造に回してください。給料がいくら安くなっても構いません、社員にも、家族にも決して言いません。」 「馬鹿な奴だ…何でこんなおいしい話から身を引く?」 「私はただ…みんなに喜んでもらえるお菓子作り、食べてもらいたいのです。」 「あの世界でも充分喜んでもらっているじゃないか」 「違います、あの世界ではお菓子は中毒になるのです。」 「喜んでもらえれば良いのだろう?」 「お願いします。私を下ろしてください。」
「まったく、お前も馬鹿なヤツだなぁ~」 田中は少々酔っていたが本音であろう。 「いいんだ、俺は俺でやってくから。」 多分、田中と飲むのも今日で最後だろう。私は平、田中は明後日からあの世界に向かう。 「何が不服なんだよぅ~お菓子さえありゃぁ何でもできるんだぜ?女も金もいくらでも手に入る!お菓子さえありゃぁなぁ~!ははは」 「おい、田中、もう少し小さい声にしろよ。」 「ほんとにお前は馬鹿だよ」 田中は静かに泣いていた。
「ああ…そうだな。」
妻にも聞かれたが何も言わなかった。社員も不思議がっていたが言わなかった。 私は製造でお菓子を袋に詰める仕事に就いた。それでも、私は幸せだった。 私たちが詰めた菓子を人々が開けて、喜び、食べてくれさえすれば…
そして事件は起きた。新聞にも載るほど大きな事件だ。 R菓子会社、社長及び四名行方不明 勿論、その行方不明者の中に田中がいた。 私は複雑な心境になった… 警察に事情聴取されたが、私は決して秘密を言わなかった。
神の裁きか悪魔の悪戯か…
もう、あの世界でチョコレート中毒になる者もいなくなるでしょう。
おわり
―――――――――――――――――――――――――――――――――――― クリスマスということでお菓子のお話。 しかし意味不明で暗いです(´3`)
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12月24日(日)23:04 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理
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