セキララ絵日記
 
まるで駄目なグラフィックデザイナー見習い日記。
 



小説モルグ
~説明~
管理人の人を不快にさせる世界へ…

眠れる森の我が儘姫(1)

※注意
読んでいい気分には決してならない小説モドキです、それでもよろしければどうぞお読みください。


その森の城に魔女の呪いによって永遠の眠りにつかされた姫がいました。
姫の永遠の眠りの魔法を解くには王子の愛のキスが必要でした。
今日も一人の王子が城に現れました、しかし、王子はキスをせずに、そそくさ隣で眠る姫を横目に帰ってしまいました。

捨て台詞は哀れみと苦笑混じりで一言「なるほど、こんなものか…」

ソフィア姫はそれほど魅力的で美しくは無かったからです。
その王子が無事に今日のちょっとした冒険話を話しているであろう梟が食事をし始める頃…永遠の眠りについている筈の姫が目を覚ました。

「ちくしょう!またかよ!!」

ソフィア姫はだるそうに美しい金細工のベッドから起き上がる。そして右手で髪をぐしゃぐしゃにかいた。
その姿は、まるで礼儀を弁えない田舎の青年の様…
ぐしゃぐしゃになった髪は赤茶色で、色の白い肌には雀斑がいくつもあった。お世辞でも美女とは言えないその姫は部屋をうろうろしてぶつくさ言う。

「もう、いい加減死んでしまいたいわね…生き恥!笑われるくらいならいっそ死んだ方が楽なのよ…」

「ソフィア姫…?」

扉の隙間から顔を覗かせるその少年は少し怯えていた。

「ヨハン!お腹空いた!」
その言葉を聞いた少年はほっとした顔で部屋に入ってきた。少年の手にはワインの瓶とパンが入った籠があった。

「嗚呼っ、なんて事でしょう!また硬いパンと酸っぱいワイン?!これって、私ひょっとして村娘より悪いものを食べてるんじゃない?!」
「そんなこと、ない、ですよ…?」
少年はベッドに座る姫の横に腰をかけた。

「あーあ、今日もまた、王子様に逃げられちゃったわよ…」
俯く少年を姫は横目で見る。
少年はソフィア姫と同い年なのに年下に感じる程幼い顔立ちをしていた、しかし、少女の様に可愛らしく少年と青年との境目で、混じり気の無い漆黒の髪が月光に照らされ美しく艶かしく光っていた。

どうせなら、こいつが姫なら良かったのよ…

そう思いながら自分の土色の髪を指に絡ませた。
無言でパンを切る少年、と言っても18歳で本当の歳は168歳。勿論、姫の歳も168歳。
こうなったのは、今から150年前の事だ…

お互い顔も見たことも無い同士で結婚が決まったソフィア姫とある国の王子。初めて会った王子は姫の顔を見て相当ガックリして見えた。

(こんな姫と一生添い遂げるのか?!)

それを素早く感じとったプライドだけは高い姫は怒り狂い城中を滅茶苦茶にして暴れ回った。
「こんな男っ、こっちから願い下げよ!!私を愛してくれない男と、なんで結婚しなくちゃいけないのよ!馬鹿にすんじゃないわよ!!」

勿論のこと、姫の両親と王子の両親と、その他諸々(先頭にはヨハンもいた)が誰も止められなかった。王子は呆然とこれからの生活に不安を感じ、溜息をついていた。
その話を聞きつけた賢い魔法使いが駆けつけた。

「短気な姫よ、何故暴れておるのだ?」
「誰も私なんか本気で愛してなんてくれないからよ!」
スカートの裾が破け息も荒い半泣き姫が魔法使いを睨み付けた。

「本当にそう思っておるのか?」
魔法使いは姫を睨み返した。
「当たり前でしょう!みんな、みんな、あの王子も、実の父母さえも私の事なんて愛おしくなんて思っていないのよ!だってこんなに不細工な顔をしているんですもの!!みんな大嫌い!」
賢い魔法使いは哀れみを込めた目つきで姫に言った。
「ならば、永遠に生き続けて姫を本当に愛してくれる男を見つければ良い。」
「は?何言ってるの?」

魔法使いが杖を天に向けると一瞬、雷が落ちたかの様に光った。

「お前に魔法をかけた。この魔法は姫を本当に愛してくれる男が現れ姫に愛の口づけをするまで永遠の命が続く。そして昼間は眠り続け、みなが眠る夜中に目を覚ます呪いの様な魔法だ。お前はお前を愛す男が出てくるまで死ぬこともできず生き続ける…。」
「それは…っ」
状況を判断できずにいた姫の代わりに姫の両親が泣き崩れた。

「そんなの酷すぎます!!」
姫と幼馴染の様に育ったヨハンは魔法使いに訴えた。
「……そう…だな。よし」
「ならば、今すぐ姫にかけた魔法を解いてください。」

「一人生き続ける事はあまりにも辛い。何しろ今周りに居る者達は死んでしまう…お前が姫の世話をしてやりなさい。」
「どういうこと?」
姫はやっと一言言った。

「この愚かな姫と、この心優しき少年は永遠に行き続けるのだ。姫に愛の口づけをする男が現れるまで…」
「誰が愚かだって?」
懲りない姫は顔を赤くし魔法使いを睨み続けた…

…そんなこんなで二人は150年行き続けている。
そして未だに誰一人として姫に口づけをする男は居ない。(数え切れないほどの男は来たが)
120年程前に姫の両親は姫のことを思いながら死んでいったが一方の姫は清々したものだった。
150年の間に姫は7回程(本人が覚えている限り)自殺を図ったがどれも失敗に終わった、それは虚ろな姫をヨハンが助けたこともあるし、やはり死ねない魔法がかかっているからだ。

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つづく…

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何か微妙なとこで止めちゃってすみません
ファンタジー(?)って難しい。



5月9日(水)23:37 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理

チョコレート中毒(上)

※注意
読んでいい気分には決してならない小説モドキです、それでもよろしければどうぞお読みください。


私は、この世界を旅する男です。
この世界はみなさんが生きる世界と少しだけ違います。甘いものが手に入らない世界。
私は、その甘いものを旅をしながら売る旅人…

「ねぇねぇ、おじさん、甘いにおいするね」
汚らしい子供が私のマントにしがみついてきました。
「放しなさい」
そういうと子供は手を離し、それでも私に付いてきました。なんて汚い町に汚い子供だろうと私は思いました。

「チョコレートにキャンディー…キャラメル…」
私がマントから商品を取り出そうとすると恐ろしく肥えた男が叫びました。
「なんでも良い!!金はある!早くっ!早くっ!」
男は目を血走らせ一心不乱に商品を食い散らかしました。
ここまでくると病気です、中毒です。しかし私には関係ありません…私は商品を売るだけなのですから。

宿に泊まったときのことです。宿屋の美しい少女が私に近づいてきました。
「あなた、甘い香りがする…」
私はキャンディーを一つ少女にくれてやりました。すると少女は満面の笑みを浮かべ喜びました。
その夜、少女は何は言わず私の部屋に入って「なんでもするからキャンディーが欲しい」と言いました。私も何も言わず、まだ幼い少女を抱きました。
ことが済むと少女は催促をしキャンディーとチョコレート一枚をくれてやると裸のまま食べ始めました。

「ああ…ああ…美味しい…」

この世界は歪んでいます。
この世界に麻薬があるように、私はお菓子という名の麻薬を売って旅をするのです。


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短いですが上中下で



12月24日(日)23:05 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理

チョコレート中毒(中)

「もう、嫌だと?」
黒いスーツを着た男が静かに私を睨んだ。
「はい、私はもう、これ以上、あの世界にいたくありません。」
私は汚いマントのままで小綺麗なこの部屋には酷く似合わないことに気付いていました。

「お前は何を言っているか分かってるのか?」

「私は、あの世界で毒を撒くことに疲れたのです。」

「毒、毒ではない…あの世界では甘い宝石だ」

私は大学を卒業してから、R菓子会社に就職した。元々甘いものが好きだったため何の苦にもならなかった。
しかし、バブルが弾け会社は倒産の危機を迎え、そのときトップにいた私やその他四人が集められた。
重々しい雰囲気の中、社長は「私が死ねば…」などと呟いた…その時、神の奇跡か…悪魔の悪戯か…あの世界の扉が現れた。
会議室の壁に先が見えないトンネルが突如現れ、半信半疑な田中がトンネルへ入っていった。
私たちは社員や家族にも言えない秘密の中、五日間、田中を待ち続けた。

五日目の朝、田中は笑いながらトンネルから出てきた。

「ああ、なんという素晴らしき世界!」
「田中っ大丈夫か!?」
五日たった田中のスーツは汚れ乱れていた。
「お前…五日も何をしていたんだ!」
「五日…そうか…五日も俺はあの世界にいたのか…」
夢現な田中に社長は
「田中くん、どんな世界だったんだね!?」
と興奮を隠せない様子で聞いた。

「奇跡です…奇跡なんですよぉ!あの世界には、甘いもの、お菓子が存在しないのです!!」

その奇跡のお陰で、この会社は外では売れないのに儲かっていました。
それは社員も、勿論部外者も不思議がりました。奇跡は私とトップの四人と社長だけの秘密になったのです。

「ねぇ、貴方…また出張なの?長くなるの?」
妻は私のスーツを掛け不安そうな顔で聞いてきた。また、というのも一度や二度ではなかったのでまたなのです。
そのトンネルができてからというもの、私たちは度々あの世界にお菓子を売りに行かされました。
妻は私には不釣合いな程、よくできた女でした。
私には娘もいます。妻に似て可愛らしい優しい子です。あの世界で抱いてしまった少女は娘とあまり年も変わらないでしょう。
私は罪悪感が膨らみ、いたたまれなくなりました。

私は、“こんなこと”のためにお菓子を作りたかったわけじゃない。売りたかったわけじゃない。

もっと、人を喜ばせたかっただけなのだから…

だがどうだろう、今私たちがしていることは…


つづく

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もっと長くアップしたいのですが…すみません。



12月24日(日)23:04 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理

チョコレート中毒(下)

「君は大変なことを言っている。分かっているかね?」
「はい、社長。」
この黒いスーツを着た男こそが自殺まで考えた社長だ。

「この秘密を知った者が、辞められると思っているのかね?」
「いいえ…」
「どうしたいんだ?この秘密を知ったからには辞められないんだよ。」
「…………なら…」
「なら?」

「トップから下ろしてください。私は絶対秘密を守ります。」
「なんだと?」
「私を製造に回してください。給料がいくら安くなっても構いません、社員にも、家族にも決して言いません。」
「馬鹿な奴だ…何でこんなおいしい話から身を引く?」
「私はただ…みんなに喜んでもらえるお菓子作り、食べてもらいたいのです。」
「あの世界でも充分喜んでもらっているじゃないか」
「違います、あの世界ではお菓子は中毒になるのです。」
「喜んでもらえれば良いのだろう?」
「お願いします。私を下ろしてください。」


「まったく、お前も馬鹿なヤツだなぁ~」
田中は少々酔っていたが本音であろう。
「いいんだ、俺は俺でやってくから。」
多分、田中と飲むのも今日で最後だろう。私は平、田中は明後日からあの世界に向かう。
「何が不服なんだよぅ~お菓子さえありゃぁ何でもできるんだぜ?女も金もいくらでも手に入る!お菓子さえありゃぁなぁ~!ははは」
「おい、田中、もう少し小さい声にしろよ。」
「ほんとにお前は馬鹿だよ」
田中は静かに泣いていた。

「ああ…そうだな。」


妻にも聞かれたが何も言わなかった。社員も不思議がっていたが言わなかった。
私は製造でお菓子を袋に詰める仕事に就いた。それでも、私は幸せだった。
私たちが詰めた菓子を人々が開けて、喜び、食べてくれさえすれば…


そして事件は起きた。新聞にも載るほど大きな事件だ。
R菓子会社、社長及び四名行方不明
勿論、その行方不明者の中に田中がいた。
私は複雑な心境になった…
警察に事情聴取されたが、私は決して秘密を言わなかった。

神の裁きか悪魔の悪戯か…

もう、あの世界でチョコレート中毒になる者もいなくなるでしょう。


おわり

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クリスマスということでお菓子のお話。
しかし意味不明で暗いです(´3`)



12月24日(日)23:04 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理

僕と母さんと母さんの秘密(4)

※注意
読んでいい気分には決してならない小説モドキです、それでもよろしければどうぞお読みください。

白血病が治った初子母さんは、まだ病院にいた倫子母さんのお見舞いに毎日行っていた。
明るく楽しい初子母さんの話を聞くのが何よりの楽しみだったという。
ところが、ある日の事だ…倫子母さんが誰にも会いたくないと言って初子母さんとも会わなくなったのだ。おかしいと思った初子母さんは無理矢理倫子母さんが押さえていたカーテンを引っ張った。
倫子母さんは泣きながら初子母さんに頼んだという。
「誰にも言わないで…お願い…私…妊娠してしまったの。」
それが僕だ。
5歳の時に両親を交通事故で亡くした倫子母さんは親戚の家にあずけられていた。その親戚は倫子母さんの両親の遺産が目当てで、元々体の弱かった母さんを病院に入れて、たまに来てお金を置いていくものの全くと言っていいほど関わろうとしなかった。
そんな倫子母さんは寂しさのあまり病院の医師と関わりをもってしまったのだ。

「馬鹿!!」
初子母さんは泣きながら倫子母さんの頬を叩いた。
「私がいたのに…私がいるのに…なんで私に言わなかったのよ!私はこれほどまで倫子を愛しているのに!」
倫子母さんは泣きながら、ただ謝って
「もう男の人なんて嫌い…ここから逃げたい…はっちゃんと一緒に…」
と言ったという。初子母さんはそれから倫子母さんと一緒に病院を出て二人で暮らし始めた。

倫子母さんは体が弱かったため子供を産むには難しかった。でも倫子母さんの強い意志で出産。皮肉なことに僕は二人の憎むべき男として生まれてしまった…

とうとう倒れてしまって弱弱しい息をする倫子母さんを見て僕は涙が出た。
仕事中にめまいで倒れてしまったがそうではない。

「倫子、お願い、元気になって…」
倫子母さんの手を握る初子母さんは祈るように呟いた。

僕さえ生まれてこなければ、倫子母さんは今も元気にいたかも知れない…
この二人の母さんよりも僕が生まれたことが、最もな不幸だと僕は思った。

「ごめんなさい…僕が、僕が生まれてこなければ…」

倫子母さんがゆっくり瞳を開いて
「大好きよ、秋矢…」
と、今にも消えそうな声で言った。

「ごめんなさい…」

僕は涙で何も見えなくなった、ただ彼女が優しく僕の手を握ってくれていた。

僕が倫子母さんの命を縮めた。

僕が倫子母さんを殺した。

僕が生まれてこなければ二人は今も幸せだったはずだ。

それでも倫子母さんは僕を愛してくれた。

僕のちっぽけな見栄で二人を一度でも僕の不幸だと思った事を深く後悔した。


倫子母さんは死んだ。
最後に何か呟いたが僕には聞こえないほど弱く小さかった。
葬式は静かに初子母さんと僕と、その場に居合わせた彼女とで執り行われた。

「初子母さん…ごめんね…僕のせいで…」

今、焼かれている倫子母さんを思う初子母さんの事を考えると謝るしかなかった。

「良かった…」

初子母さんは僕の手に自分の手を重ねた。

「え…?」

知らぬ間にまた涙が溢れ出ていた。

「秋矢が生まれてきて本当に良かった…」

「………」

「秋矢がいなかったら、私…」

「お母さん…」

父さんとか母さんとか、男とか女とか関係ないと思った。

ただ愛している。

それだけでいいじゃないか。

もう片方の手を彼女が握り締めた。

僕は不思議な空間で、不思議な気持ちで、改めで愛と幸せを感じた。


おわり

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結構長くなってしまった…(´Д`;)
感想もらえると嬉しいです。



12月18日(月)20:15 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理


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