セキララ絵日記
 
まるで駄目なグラフィックデザイナー見習い日記。
 



小説モルグ
~説明~
管理人の人を不快にさせる世界へ…

歪んだ愛の果て 2

※注意 
奇妙な人が書いた小説です
不快になるかも知れない小説モドキなので此処で気持ち悪くなったら帰ったほうがいいです。


結衣は良い女だった、別にそういう意味じゃなくて…前の彼女に比べると…ホント…良い女。
浮気なんて絶対しないし、毎日、朝昼晩と作る手料理は格別だった…多分、母親より料理が上手い。

その後、何事もなく前の彼女とは別れた
だけど、言うまでもなく殴られた…しょうがないけど。

結衣との生活は実に充実していた。
洗濯物は溜めないし、風呂も洗うし、料理も上手いし、掃除もする。
最初俺の部屋に来た時、彼女は呆然としたが、すぐに掃除をし始めた…こういう女こそ俺の女に相応しいとか思ってた。
彼女の美しい髪、いい香りがして、とても好きだった…彼女を彼女を全て俺のものにしたいと思っていた。

大学も順調で、やっぱ彼女ひとつで生活も変わるんだなーと実感。
コンビニのバイトもだるくなくなった。


だけど…彼女を愛せば愛すほど、恐ろしくなってきた…。

彼女も俺を愛せば愛すほど…。

コンビニのバイトが少しでも長引くとコンビニに迎えに来て…
林田に無理やり連れてかれた合コンにも、片っ端から電話をして俺を探し迎えに来た…
そのとき、俺は、たまたま仲良くなった女と一緒にいたが…
雨の中、傘を差さずずぶ濡れの彼女が微笑んで
「帰ろう」と言った…それに恐怖を感じた。

彼女の愛は病的だった…

彼女に愛されれば愛されるほど…

俺は…その度に…恐怖を感じた…


「なぁ~飯田クン!最近付き合い悪いぞぉ~」
冗談交じりに林田は言ったが…
結衣がいる限りきっと、林田と遊べないだろう…
コンビニ弁当片手に林田は言った。
溜め息を一つついた

「結衣?」

「嗚呼。」

林田は顔を歪めた、周りにいた友達も黙った。


「…なぁ~、こんな事言うのもなんだけどさぁ~…稜輔(りょうすけ)、別れた方が良いんじゃない?」

「うん、ちょっとヤバイよ」

そんな事、俺だって思っていたけど…そんな事したらどうなる事か…
俺が黙っていると、林田が

「ホントに別れたいんならさ、俺、手伝ってやるよ」

「は?」

「だからさ、手伝ってやるって言ってるだろ」

林田は小さく微笑んだ。
恐ろしく悪知恵が働く奴だった…


「お帰りなさい、稜くん」
今日も玄関まで来て、結衣は微笑んだ。

「嗚呼、ただいま。」

俺が家に入ろうとしたら…

「今日は五分も家に帰ってくるのが早かったね」
と悪意の感じない言葉を発し、俺が振り返るとニコリと微笑み

「今日のご飯は凄い美味しいはずよ、早く食べてみて」
と俺の腕を引っ張った。

「稜くんの好きな、鶏、チキンだよ」

美味しそうな料理がテーブルに並んでいた。


今日は朝から珍しく結衣がいない
今日は実家に帰るそうだ。
俺はひと時の一人を楽しんだ。

いつも結衣は、そこにいるからだ…
それは尋常ではなく、俺を監視しているようにも思えるほどだ…

しばらくぼーっとしていると、林田からメールがきた
“今日、お前一人だろ?だったら、別れさせるように手伝ってやるよ”
とあった。

“オマエ、一体何するんだ?”

林田は一時間位経ったら家に来た
林田と、女…

女は微笑んで「はじめまして」と言った

「…はじめまして…?」


林田の悪知恵はこうだ、この女、一宮(いちのみや)さんに手伝ってもらって二人で寝ている所を見せる…簡単だが、きっと、普通の女なら別れるだろう。
一宮さんは快く引き受けてくれていた

その間、林田は俺の部屋の押入れに隠れているのだ。


ガチャガチャ…鍵を開ける音がした

嗚呼、とうとう…。


俺は緊張してきた

一宮さんは、そ知らぬ顔で俺の胸に抱きついていた


「ただいま」
結衣は軽く声が弾んでいた…

・・・・・・・

「お邪魔します」
と結衣とは明らかに違う人の声がした。

なんて事だ!結衣は誰かを連れてきていたのだ!!
他人にこんな所を見られるなんて!
どう思われる?!

どうするんだ?!

一宮さんも俺を見て驚いていた


「稜くーん?」

結衣の声が近づいて、胸が張り裂けそうだった…
こんな事…しなければ良かった。

しかし、後戻りなんて出来なかった、実際、誰かに見られていれば結衣のショックも大きいだろうし…きっぱり別れられるだろう。


「稜くん、寝てるの?」

キィィィ…

俺の部屋のドアが開いた…


いよいよだ…

俺が恐る恐る結衣の顔を見ると…


予想外に顔色が変わっていなかった。

「稜くんいたんだ…その人誰?」
あくまで平常心を保つ結衣に、今更ながら恐怖を感じた。

「見れば分かるだろ?」
俺も顔ではきっと平常心を保っていた。


すると後ろから悲鳴と物が落ちる音がした。

「きゃぁあっ!何て不潔なの!?」

どうやら結衣の母親らしい、結衣の男を見に来たのだろう…その男が結衣のいない間に他の女を連れ込んだなんて不潔に違いない…
結衣の母親は良い出らしく、高そうな着物を着ていて…結衣に似て年のわりに美しい顔をしていた。

その美しい顔が歪んだ。

「結衣っ、さぁ、帰りましょう!こんな不潔な男とは別れなさい!」

結衣の母親は結衣の細い腕を掴むと玄関に向かった…
結衣の母親が持ってきた物が蹴飛ばされた。


結衣は、何が起こったのか分からないように呆然と、最後まで俺を見ていた…

さよなら、結衣。


勢いよくドアが閉まった。




ところが、結衣と別れた後から無言電話が続いた…
それも尋常ではない、一日に三十も、四十も無言電話が続くのだ。


俺は気が可笑しくなりそうだった…

そして、結衣と別れた事を後悔し…

結衣と別れた事を正解だと思った…



+続く+



9月8日(木)22:40 | トラックバック(0) | コメント(4) | 小説モルグ | 管理

歪んだ愛の果て 1

※注意 
奇妙な人が書いた小説です
不快になるかも知れない小説モドキなので此処で気持ち悪くなったら帰ったほうがいいです。



彼女と付き合い始めたのはかれこれ三ヶ月前の事で
彼女と別れたのはそれから二ヵ月後
つまり、今、一ヶ月経っている。

最初は静かで無口だけど可愛い子だなぁと思った
無口だけど、お人形の様に可愛い
髪は長く、だけど整っていて…それから清潔な感じがした
その出会いは俺の友達主催の合コン
何時もの様に軽い気持ちで参加した、その時既に俺には彼女がいたからだ
友達に頼まれたから来てやった。
それに、どうせ、ろくなのしか居ないと思っていたし。

だけど、彼女に出会った。

その時の彼女に比べると正反対だった。

言っちゃ悪いが昔の彼女は顔悪い、男癖が悪い、口悪いの三冠王だった
それに比べると、その子は顔良い、男を裏切らない、お嬢さん…昭和の感じ…、ホント良いお嬢さんだった。


「はーい!じゃぁ、俺から紹介するねっ、俺、林田クンね~皆ぁ覚えてちょーだい!」
全く友達の林田には毎回驚く、よくもまぁプライドを捨てたような事を言えるのだろうと思う。
しかも、会ったばかりの女達(その場に居る女全員)にメアドが書いてある紙を渡しまくる。

すると、林田は俺の肩をグイっと引っ張り
「コイツ、俺のフレンドの飯田クンっ無口だけど~喋りだすとヤバイから!ん~で…」
俺の紹介が終わるとすぐに他の奴の紹介をし始めた

嗚呼、何で、こんな仕切り屋の奴と友達になってしまったんだろうと…少し後悔した。

俺の左前に、その子がいた
綺麗だったけど他の奴に比べると居ないオーラが出ていた、ずっと下を向きウーロン茶を飲んでいた
気になっていたが、さほどその時はどうも思わなかった

すると女達の方も自己紹介をはじめた

「摩実で~す、よろしくねぇ~趣味はカラオケだから~気軽に誘ってね!」
どう見てもウカレバカのオーラ。

そして、その子の番が来た

「えっと、橘 結衣(たちばな ゆい)です、よろしくっお願いします」
ええ?それだけ?
早速、林田がチェックを入れた
「あの摩実って子、どう見てもイカれてらぁ~ははっ」
林田は指を一本立て頭上でクルクル回した
「その隣の子、顔は良いけど暗いね~」
「嗚呼」
それだけ言うと何も無かったかのように場を盛り上げた…凄い奴…

何だかんだで合コンは無事終わった
名前の分からない奴が、あのバカ女とくっ付いた様だった…結局やって捨てるんだろうが…


レストランを出ると夜だった、当たり前の事だが、星が綺麗だった
ぼうっとしていると誰かが俺の肩を軽く叩いた

「あのぉ…」

「はい?」
後ろを向くと、あの無口美少女結衣が居た。

「メアド教えてもらえませんか?」

「え?」
あまりに突然だったので驚いた

「あ…駄目なら良いんですが…」

「あ、いいよ、結衣ちゃんも教えて」
いつもの事だったので、さっさと教えて帰った。


家に帰ると、ウザイ女がいる
「ちょっとーアンタ、ここにイイ女がいるのに合コンかよ!?」
くだらないTVを見ていた
テーブルの上にはカップラーメン…

たまには自分で作れよ…と言いたくなったがキレそうなのでやめておいた

俺はお詫びの印(何でお詫びをしなくちゃならないか解らないが)にコンビニでプリンを買って来てやっていた。

「はぁ?アンタ、まさかコレで許せって言うんじゃないでしょうね?!」
全く五月蝿い女だ。
とか言いつつプリンを美味しそうに食っていた奴。
「嗚呼、そうだよ」
素直に言ったら
形相が変わった

「アンタ!他の女つくったんでしょう?!だから安いプリンなんて買ってきたんでしょう?!」

何でこう、すぐにヒステリックを起こすのか分からない…唯淡々と彼女の怒る顔を見ていた。
こういう女が一番嫌いなのに…何で付き合ってしまったんだろう?疑問ばかりだ

「俺の事を信じていないのか?」
俺はまた、素直に言った

「当たり前でしょ!男はすぐ浮気するからねっ!!」

「・・・・・(それはオマエだろ)」

俺は溜め息をつき、そのまま寝た。
こんな女と何で一緒にいるんだろう…


ケータイの受信音で起きた、どうやらバカ女(彼女)と事を済ませた後らしい、真っ裸でケータイを覗いた
すると、あの、結衣って子からメールがきてた

“昨日は合コン騒がしかったですね、私だけかな?また今度会いたいです。
迷惑かな?迷惑じゃなかったらメールください”

素っ気無いメールだったが、彼女からするとかなり頑張った文章だった。
それからこう送った

“いいね!!今度は静かな所で二人で会おうよ”

何で、こんな言葉を送ったのかわからない…
今の彼女じゃ満足していなかったからかもしれない…

そのまま、また深い眠りについた…


それから、一週間後、結衣と食事をして、結局最後まで行ってしまって…何だか微妙な感覚が襲った。
あんなバカで五月蝿い女だけど…一応俺の彼女だし…これって裏切ったんだよな…
こんな俺でも彼女を裏切る事に罪悪感を感じる。
彼女は平気でも俺は…。

横で静かに眠る結衣の寝顔は可愛かった



+続く+

まだ、歪んでいない気が…
未だ合コン、人と付き合う事をしたことが無いので
色々違った感覚かもしれませんがお許しを…
嗚呼、バカ女…



7月30日(土)00:23 | トラックバック(0) | コメント(2) | 小説モルグ | 管理

或傷ノ話⑤

※注意 
奇妙な人が書いた小説です
不快になるかも知れない小説モドキなので此処で気持ち悪くなったら帰っ
たほうがいいです。


「今は色々忙しいから…近いうちに結婚しよう」
「ええ、ええ、でも貴方はソレをどうするの?」
今、二人は夜景が綺麗に見える屋上にいる
私の吸う煙草の煙は美しい夜空に消えていった


死んだ同僚でもあり偽りのトモダチでもあった
“佐崎 千佳”のソレ…
電車で体はグチャグチャになったけど…
残ったソノ“足”を…
貴方はどうするの?

「君には分からないだろうよ」

「え?」

「コノ美しさを…」

「…貴方が幸せならそれでいい、私は貴方の為なら何でもできるのだから…」
私は微笑んだ

ねぇ、そうしたら貴方は何時までも私の傍に居てくれるでしょう?


「君も運の悪い子だ、私の為に何でもできるなんて」
「ふふ、それでもいい、私は貴方が欲しいのよ」

「僕の事をちっとも疑わない」
「貴方を信じているもの」

彼はこちらを向いた
そして、私を抱きしめた

嗚呼…これで私は幸せになれる


まだ幼かったあの時…母と父は毎日喧嘩をしていた
私は…毎日泣いていた
私の力ではどうにもなら無い事を恨んだ
何て、私は無力なのだろうって…

そんな私を慰めてくれたのが他でもない…健史だった…
健史は私のたった一人の…大切な人…大切な弟だった…
健史は私に微笑んで
「僕はお姉ちゃんの為なら何でもするよ」
って言ってくれた

そして、とうとう両親は離婚し、母が私を、父が健史を…兄弟は離れ離れになった

それでも私達は親の目を盗んでよく会った

私は年頃になり、健史も年頃になった
健史の目つきが変わっていくのが分かった
姉を見る目つきではなく…
女を見る目つきだった…
そして禁忌を犯した

それでも私は健史を愛していたし、健史も私を愛していた

だけど、それは長くは続かなかった、本当の愛の意味を知ったから
私は他の男に恋をした
それは普通の事だけど、健史は違かった

「姉さんの為なら何でもするから…」


だけど…最後に健史は本当の愛の意味を知った

私を愛す事ではない、他の女を愛したのだ

そして、死んだ。

馬鹿な子。

私に利用されて死んだ、馬鹿な子。


彼との契約はこうだった…
「君は、私の娘と同じ会社だったね、もし、君が、僕の為に僕の娘の足をくれたら…僕は、君のものになるよ」
彼は小さく微笑んだ

「佐崎千佳の足?」

私は奇妙に感じたが幸せを手に入れたい…
彼を私の物に出来るのならば…その一身だった


そして私は佐崎千佳に近づき、親しくなった
弟の健史も使った
手を汚すのは私ではなく健史
健史は私の為に何でもやってくれる…

だけど、健史は失敗した

殺せなかった…

馬鹿な子…

仕方が無いから私たちではない、電車にやってもらう事にした
電車なら誰が犯人でもない

そして二人は死んだ


「なぁ、君は本当に僕だけを愛している?」
彼は私を抱きしめながら呟いた

「何を言っているの?私は貴方だけよ」

彼は私を手すりの上に乗せ私のシャツをめくり上げた

「だったら、これはなんだい?」

彼は私の腹の傷を指差した

「これは…貴方の為に…」

貴方の為に…健史を利用した時の傷よ…

彼の顔を覗き込むと恐ろしい形相をしていた


「僕は、僕だけを愛してくれる人じゃなければ愛せない…」

そして彼は私を屋上から突き落とした

最後にこう聞えた

「サヨナラ馬鹿な馬宮さん」


私は可笑しくて堪らなかった
馬鹿なのは健史じゃない
私だったんだって

愛する人の為になんだってできたのに…
愛する人は…


それでも、貴方を愛してる



全く可笑しくて堪らない
今朝の新聞を見たら

“笑う死体”って文字があった

その死体は馬鹿に違いない
それと

“謎の遺書”と書いてあった

しかし僕には関係の無い事だ

「なぁ、美奈、可笑しいだろう?」
僕の愛した妻は
美しい足しか残っていない…
しかし、それが堪らなく愛おしい…

「あの時、千佳に見られたと分かったとき驚いたよ」
私はもう一つの足に呟いた
だけど足は何も言わない

「あの時ね、この馬鹿女の遺書を書いていたんだよ」
その足を妻の美しい足の隣に置いた
よりいっそう美しく見えた


「なぁ、全て僕の考えていた通りにいったろ?」

笑いが止まらない

美しい足…僕だけのもの…君たちの為なら僕は何でもするよ?


人は愛する人の為に何でもできるのかもしれない…

その愛こそ明日への輝きにして生きているのかもしれない…

この男もそうだ

愛するモノの為になんだってできる



「アナタ、ごはんできたわよ」
「嗚呼、今行くよ」
男は軽く微笑んで言った


けれど、運命はすでにこの男のモノなのかもしれない
全ては男を中心に廻っているのかもしれない


その真実を知るのは貴方だけ


+おわり+

やっと終わった
感想もらえるとホント嬉しいよ



7月20日(水)15:09 | トラックバック(0) | コメント(6) | 小説モルグ | 管理

或傷ノ話④

※注意 
奇妙な人が書いた小説です
不快になるかも知れない小説モドキなので此処で気持ち悪くなったら帰っ
たほうがいいです。



さっきから健史は黙りこくっている、まぁ、この女との最後のお別れだしね…
嗚呼、これでやっと彼も私を心から愛して両思いになる…
これで良いのよ
彼が私の物になるんだもの…
永遠に…
私だけの物に…

健史は後々邪魔になるし死んでもらうしかない…

昔は、健史が一番好きだったのよ
でもそれは本当の愛じゃない、別の感情だ
今はアンタ以外に本当に愛する人ができたのよ
その人の為だったら…大切なアンタも使ってやる

どんな事をしたって、この愛は失いたくない…


健史…健史…健史…
声が出るのなら枯れるまで貴方の名を叫びたい
息が、空気が抜ける感じがした

死ぬのは怖くない
だけど、貴方を失うのだけは…


地響きがして体が揺れた

何かが来る…すぐ近くまで…


俺は本当にこのままで良いのか?

「いよいよね」

俺は…

「ふふ、これで本当の愛を手に入れられる…」

俺にとっての本当の愛は…

健史…私の事アイシテル?


突然健史が飛び出した

「健史!何してるの!!危ないわ!!」

「俺は、千佳を助ける!」

「無理よ!もう手遅れだわ!!それに健史っアンタも死んじゃう!」

私を見ていた健史が一瞬笑っていたように見えた
そして近づく電車を尻目に飛び込んだ
私は内心ほっとしていた、何しろ私の手ではなく、自分で死にに行ったのだから…


もう、駄目かもしれない…
意識がいよいよ無くなってきた、私は、健史に愛される事なく死んでしまうのね…

「千佳っ、千佳っ!」

嗚呼、健史の声まで聞こえてきた
いよいよね
最後が貴方なんて、神様も粋な事をしてくれる…

重たい目蓋が自力で何かを見ようとする

コノ世ハ汚イノヨ、モウ充分ジャナイ

心の中がそう呟いた

誰かが私を抱きかかえた感覚がした

誰?

私を抱いてくれるのは…

目蓋がついに開いた


健史…?


健史が、健史が私を抱きかかえてくれている…
これはきっと夢
でも素敵な幻

健史…


健史が微笑んだ

まるで光が私達を包むような明るさで目を閉じた


「千佳、アイシテル」

それは片言だったけどはっきりと聞こえた


私も…健史を愛してる



「ねぇ、約束は守ってくれるんでしょう?」
私は何時もの様にきつい煙草を銜え呟いた

「嗚呼、守るとも」

貴方は微笑んで私を迎えてくれた

「嬉しい…」


幸せは不幸な時間より遥かに少ない
そんな小さな幸せを糧に私は、何でもする

彼だって…



+続く+

今日は2編も更新したよ!偉いでしょ?



7月19日(火)18:55 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理

或傷ノ話③

※注意 
奇妙な人が不快になるかも知れない小説モドキなので此処で気持ち悪くなったら帰っ
たほうがいいです。


「ったく…何で殺さなかったの?」

朦朧とする意識の中そう聞こえた

「だって、俺…」
「言い訳なんていらない、お前が殺していれば面倒な事にならなかったのに」

だ・れ・?

ぼやける視界に目をやると、言い合う二人

そう…

この二人…知っている


出会いは突然だった
彼にさっき、今さっきふられて…不幸のどん底だった私に冷たい雨が追い討ちをかけた
私は愛した、心から
けれど彼は答えてくれなかった

涙と雨が一緒になって、どれが私の頬をつたう涙か分からなかった
だけど、涙も雨の様に流れた
私は一人ぼっちなんだ…

そんな私に傘を差してくれた人がいた、それが彼だ

もうどうなってもいいと思って傘なんて差していなかった
彼が私を闇から救い出してくれる救世主に見えた…

彼は微笑んだ。

貴方の為なら何でも出来ると分かった
貴方の為なら何でもするって決めた
貴方の為なら…

彼が笑みを含めてこう言った

「君は僕の為に何処までできる?」
「私は貴方の為なら何だってするわ」
「本当かい?」
「えぇ、本当に…」
「じゃぁ…」

彼は私と約束をした、私が彼の望みを叶えたら彼が私の望み…結婚をしてくれると言ってくれた。


嗚呼、俺の愛した人は俺以外の男を愛している
だけど、それでも俺は彼女を愛している
この気持ちは…この思いは…彼女へ届かないだろう…
それでも、彼女の為なら何だってできる…

たとえ、他の女を愛せと言われても…


「早くしないと最終が出ちゃうわ」
「分かってる、だけど人間ってのは重いな」

最終…
小石がぶつかる音がするジャリジャリと…

此処は何処?

だんだん意識がはっきりしてきた
それに痛みも感じる
私の腹からどろどろとした物が流れて熱い…
体の中から熱を感じた
体の熱も熱かった、けど、それより胸が熱かった

ねぇ…

出せない声が…切ない…
貴方に聞きたい…


私を愛していたかって…


「なぁ、これからどうするんだ?」

声が遠くなった

「これも愛する人の為なのよ…」

煙草の煙

「俺は…どうすれば…」

戸惑いの声

「…あんたは私の為に何処まで出来る?」

「何でも…」


色々頭の中を整理してみた
動かない体はまるで人形の様だった。
まず、体が動いていた時の事までは覚えている
健史と一緒にいた
健史に何時もの様に剃刀で切られた
でも、今日は違かった
明らかに態度が違かった

まるで初めて何かを殺すかの様な恐怖と好奇心

貴方は愛する人の為に何でも出来るのね
私も愛する人の為なら何だって出来るわ

意識が途切れる瞬間、健史は言った

“ごめん”って

大丈夫貴方の為なら死ねるから、殺されるから、私は喜んでこの世から消えるから…

ねぇ、私を少しでも愛していた?


最終電車が、電車の明かりが見えた
これで、アイツともお別れだ
考えてみたらアイツとは三ヶ月弱付き合っていた
アイツが初めて一番長く付き合ってくれた、付き合ってやった女だ
アイツは俺の異常さも全て受け止めて愛してくれていた
俺は、アイツの事を愛していたわけじゃない
俺は…
俺は…
どうすれば良かったんだ?

俺を愛した女を愛せず、俺を物として扱う宙ぶらりんな女を愛した

それで良いのか?

本当に良いのか?


+続く+

どうやら文字数が多いらしく投稿不可能なので途中でブッタギリ



7月19日(火)18:53 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理


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