チョコレート中毒(上) |
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| ※注意 読んでいい気分には決してならない小説モドキです、それでもよろしければどうぞお読みください。
私は、この世界を旅する男です。 この世界はみなさんが生きる世界と少しだけ違います。甘いものが手に入らない世界。 私は、その甘いものを旅をしながら売る旅人…
「ねぇねぇ、おじさん、甘いにおいするね」 汚らしい子供が私のマントにしがみついてきました。 「放しなさい」 そういうと子供は手を離し、それでも私に付いてきました。なんて汚い町に汚い子供だろうと私は思いました。
「チョコレートにキャンディー…キャラメル…」 私がマントから商品を取り出そうとすると恐ろしく肥えた男が叫びました。 「なんでも良い!!金はある!早くっ!早くっ!」 男は目を血走らせ一心不乱に商品を食い散らかしました。 ここまでくると病気です、中毒です。しかし私には関係ありません…私は商品を売るだけなのですから。
宿に泊まったときのことです。宿屋の美しい少女が私に近づいてきました。 「あなた、甘い香りがする…」 私はキャンディーを一つ少女にくれてやりました。すると少女は満面の笑みを浮かべ喜びました。 その夜、少女は何は言わず私の部屋に入って「なんでもするからキャンディーが欲しい」と言いました。私も何も言わず、まだ幼い少女を抱きました。 ことが済むと少女は催促をしキャンディーとチョコレート一枚をくれてやると裸のまま食べ始めました。
「ああ…ああ…美味しい…」
この世界は歪んでいます。 この世界に麻薬があるように、私はお菓子という名の麻薬を売って旅をするのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 短いですが上中下で
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12月24日(日)23:05 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理
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チョコレート中毒(中) |
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| 「もう、嫌だと?」 黒いスーツを着た男が静かに私を睨んだ。 「はい、私はもう、これ以上、あの世界にいたくありません。」 私は汚いマントのままで小綺麗なこの部屋には酷く似合わないことに気付いていました。
「お前は何を言っているか分かってるのか?」
「私は、あの世界で毒を撒くことに疲れたのです。」
「毒、毒ではない…あの世界では甘い宝石だ」
私は大学を卒業してから、R菓子会社に就職した。元々甘いものが好きだったため何の苦にもならなかった。 しかし、バブルが弾け会社は倒産の危機を迎え、そのときトップにいた私やその他四人が集められた。 重々しい雰囲気の中、社長は「私が死ねば…」などと呟いた…その時、神の奇跡か…悪魔の悪戯か…あの世界の扉が現れた。 会議室の壁に先が見えないトンネルが突如現れ、半信半疑な田中がトンネルへ入っていった。 私たちは社員や家族にも言えない秘密の中、五日間、田中を待ち続けた。
五日目の朝、田中は笑いながらトンネルから出てきた。
「ああ、なんという素晴らしき世界!」 「田中っ大丈夫か!?」 五日たった田中のスーツは汚れ乱れていた。 「お前…五日も何をしていたんだ!」 「五日…そうか…五日も俺はあの世界にいたのか…」 夢現な田中に社長は 「田中くん、どんな世界だったんだね!?」 と興奮を隠せない様子で聞いた。
「奇跡です…奇跡なんですよぉ!あの世界には、甘いもの、お菓子が存在しないのです!!」
その奇跡のお陰で、この会社は外では売れないのに儲かっていました。 それは社員も、勿論部外者も不思議がりました。奇跡は私とトップの四人と社長だけの秘密になったのです。
「ねぇ、貴方…また出張なの?長くなるの?」 妻は私のスーツを掛け不安そうな顔で聞いてきた。また、というのも一度や二度ではなかったのでまたなのです。 そのトンネルができてからというもの、私たちは度々あの世界にお菓子を売りに行かされました。 妻は私には不釣合いな程、よくできた女でした。 私には娘もいます。妻に似て可愛らしい優しい子です。あの世界で抱いてしまった少女は娘とあまり年も変わらないでしょう。 私は罪悪感が膨らみ、いたたまれなくなりました。
私は、“こんなこと”のためにお菓子を作りたかったわけじゃない。売りたかったわけじゃない。
もっと、人を喜ばせたかっただけなのだから…
だがどうだろう、今私たちがしていることは…
つづく
―――――――――――――――――――――――――――――――――――― もっと長くアップしたいのですが…すみません。
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12月24日(日)23:04 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理
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チョコレート中毒(下) |
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| 「君は大変なことを言っている。分かっているかね?」 「はい、社長。」 この黒いスーツを着た男こそが自殺まで考えた社長だ。
「この秘密を知った者が、辞められると思っているのかね?」 「いいえ…」 「どうしたいんだ?この秘密を知ったからには辞められないんだよ。」 「…………なら…」 「なら?」
「トップから下ろしてください。私は絶対秘密を守ります。」 「なんだと?」 「私を製造に回してください。給料がいくら安くなっても構いません、社員にも、家族にも決して言いません。」 「馬鹿な奴だ…何でこんなおいしい話から身を引く?」 「私はただ…みんなに喜んでもらえるお菓子作り、食べてもらいたいのです。」 「あの世界でも充分喜んでもらっているじゃないか」 「違います、あの世界ではお菓子は中毒になるのです。」 「喜んでもらえれば良いのだろう?」 「お願いします。私を下ろしてください。」
「まったく、お前も馬鹿なヤツだなぁ~」 田中は少々酔っていたが本音であろう。 「いいんだ、俺は俺でやってくから。」 多分、田中と飲むのも今日で最後だろう。私は平、田中は明後日からあの世界に向かう。 「何が不服なんだよぅ~お菓子さえありゃぁ何でもできるんだぜ?女も金もいくらでも手に入る!お菓子さえありゃぁなぁ~!ははは」 「おい、田中、もう少し小さい声にしろよ。」 「ほんとにお前は馬鹿だよ」 田中は静かに泣いていた。
「ああ…そうだな。」
妻にも聞かれたが何も言わなかった。社員も不思議がっていたが言わなかった。 私は製造でお菓子を袋に詰める仕事に就いた。それでも、私は幸せだった。 私たちが詰めた菓子を人々が開けて、喜び、食べてくれさえすれば…
そして事件は起きた。新聞にも載るほど大きな事件だ。 R菓子会社、社長及び四名行方不明 勿論、その行方不明者の中に田中がいた。 私は複雑な心境になった… 警察に事情聴取されたが、私は決して秘密を言わなかった。
神の裁きか悪魔の悪戯か…
もう、あの世界でチョコレート中毒になる者もいなくなるでしょう。
おわり
―――――――――――――――――――――――――――――――――――― クリスマスということでお菓子のお話。 しかし意味不明で暗いです(´3`)
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12月24日(日)23:04 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説モルグ | 管理
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